この記事で整理すること

  • 物件賃貸、設備譲渡、事業承継を分けて記録する
  • 残っている機器は、所有者と保守条件を確認する
  • 開設と保険指定の手続きを、取引条件から独立して確認する

「居抜き」に含まれるものを、資産一覧にする

最初に受け取るのは、室内写真だけではなく、引き継ぐ設備の一覧です。品名、型式、製造番号、導入時期、所有者、保守契約、現在の状態、付属品、取扱説明書の有無を記載してもらいます。対象外の物品も明示すると、引き渡し日に必要なものがなくなる行き違いを減らせます。

機器が置かれていても、リース会社や別の事業者が所有している場合があります。譲渡できるのか、契約の切替えが必要かを契約先に確認します。機器ごとに添付文書と保守点検の記録も受け取り、点検の計画を引き継げるかを確かめます。エックス線装置が残っている場合は、新しい開設者として備付けの届出が必要かを保健所に確認してください。動作確認の実施日、確認した人、確認していない機能を残し、故障時に誰がどこまで負担するかを契約条件として整理してください。

残すための費用と、変えるための費用を見積もる

残っている内装が、自分の診療内容とスタッフ配置に合うとは限りません。診察室、処置室、待合、検査、収納の使い方を図面に書き込み、変更が必要な箇所を確認します。給排水や電力、空調、通信回線についても、以前の利用実績だけで十分と判断せず、導入する機器の条件と照合します。

資金計画では、譲渡代金に加え、撤去、修理、再設定、清掃、保守再契約、機器接続、データ移行などの見積もりを分けます。内装を残せる部分がある一方で、診療に必要な変更工事が増える場合もあるためです。新規内装案と比較する際は、開業時に使える設備の範囲を揃えてください。

患者情報とスタッフは、設備のようには扱わない

事業の承継を伴う場合は、診療録等の管理、システムの権限、患者への案内、従業員との契約を別の論点として整理します。前の診療所の診療録は、医師法24条により、その診療所の管理者が5年間保存しなければなりません。承継の後に誰がどこで保存し、患者から求められたときに誰が対応するかを、契約前に決めておきます。検討の初期に、氏名や診療内容が分かる情報を不用意に共有しないことも重要です。個々の資料を誰が扱い、何の目的で閲覧するかを決めてから、必要な確認手続きを進めます。

患者数や売上の資料は、集計期間、休診日、診療日数、対象の診療内容、集計方法を確かめます。過去の実績が将来も続くとは限りません。スタッフの継続勤務、紹介元との関係、院名の利用、電話番号やウェブサイトの引き継ぎなども、取引相手と確認する項目です。個別契約や個人情報の取扱いは専門家と確認してください。

行政手続きは、契約締結前に所管へ相談する

自治体は開設、変更、廃止などの手続きを分けて案内しています。どの手続きになるかは、開設者や組織形態、取引の内容、設備の変更によって確認が必要です。「前もクリニックだった」というだけでは、新しい開設計画が認められるかどうかは分かりません。予定図面と取引の概要を持って所管保健所へ相談します。

保険医療機関の指定も別に確認します。毎月の締切日までに受け付けられた申請は、原則として翌月1日が指定日になります。締切日は厚生局の事務所ごとに決まっていて、過ぎると指定は1か月後ろにずれます。関東信越厚生局は、2026年9月1日以降の遡及指定を3つの類型に分けて案内しています。開設者の死亡等の場合、2km以内の移転や開設者のみの変更で要件を満たす場合、その他の場合です。

その他の場合は、原則として希望日の3か月前までに予定届出書を出し、事前相談をします。承継だからといって、保険診療が途切れないとは限りません。管轄厚生局に必要書類、申請時期、診療開始可能日を確認してください。引き渡し日と診療開始日の間に発生する支出も資金計画へ入れます。

確認リスト

相談・作業の前に、ここを確認

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作業の進み具合の記録です。完了しても適法性や事業の可否を判定するものではありません。

出典・確認日

  1. 港区:診療所等の届出関係 ↗確認日:2026-10-16
  2. 関東信越厚生局:保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出 ↗確認日:2026-10-16
  3. 関東信越厚生局:保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて ↗確認日:2026-10-16
  4. 東海北陸厚生局:保険医療機関・保険薬局の指定等に関するよくある質問 ↗確認日:2026-10-16
  5. e-Gov法令検索:医師法(24条:診療録の記載と保存) ↗確認日:2026-10-16
  6. 仙台市保健所:診療所(無床)管理の手引き(令和7年5月 第5版) ↗確認日:2026-10-16

制度の対象・期限・地域ごとの取扱いは、必ず最新の公式案内をご確認ください。本文は一般的な情報と資料整理の手順であり、個別の法務・税務判断を提供しません。