先に結論
求人をいつから出すかに、法令で決まった時期はありません。起点は診療開始日です。そこから、研修を始める入職日、内定した人が今の勤め先を辞めるまでの期間、選考の期間、求人の公開までの日数を、順にさかのぼります。
期間の定めのない雇用なら、法律上は、辞めると申し入れてから2週間で契約が終わります(民法627条1項)。ただ、勤め先の就業規則の申出時期に沿って手続きを進める人もいるため、実際の退職日はそれより後になることがあります。入職日は本人に聞いてから決めます。
求人票には、業務の内容と就業場所の「変更の範囲」まで書きます(職業安定法施行規則4条の2第3項)。内定で労働契約が成立する場合は、労働条件の明示も内定の時点で行います。職員がまだいない段階でも、採用後すみやかに保険に加入することを前提に、求人を受け付けると案内しているハローワークがあります。必要な書類は、管轄のハローワークに問い合わせます。
| 場面 | いつ・どこへ | 書くこと・守ること | 根拠 |
|---|---|---|---|
| ハローワークへの求人の申込み | 募集を始めるとき。事業所の所在地を管轄するハローワークへ | 業務の内容と就業場所(どちらも変更の範囲を含む)、契約期間、試用期間、労働時間と休日、賃金の額、社会保険・労働保険の適用など。試用期間の中と後で条件が違えば両方 | 職業安定法5条の3第2項、同法施行規則4条の2第3項・第6項 |
| 求人広告・医院のウェブサイトでの募集 | 掲載するとき | 労働条件を示す。虚偽や誤解を生む表示をせず、正確で最新の内容に保つ。示した内容の記録を保存する | 職業安定法5条の3第1項、5条の4、同法施行規則4条の2第7項 |
| 求人と違う条件で契約する | 労働契約を結ぶ前に、契約の相手へ | 変える内容、絞り込む内容、削る内容、加える内容 | 職業安定法5条の3第3項、同法施行規則4条の2第1項・第2項 |
| 労働条件の明示(労働条件通知書) | 労働契約を結ぶとき(内定で契約が成立する場合は内定の時点)。雇う職員へ | 契約期間、更新の基準、就業場所と業務(変更の範囲を含む)、労働時間と休日、賃金、退職は書面で。パート・有期の職員には、雇い入れたとき速やかに、昇給・退職手当・賞与の有無、待遇について説明を求めることができること、相談窓口も | 労働基準法15条1項、同法施行規則5条、パートタイム・有期雇用労働法6条1項 |
| 雇入れ時の健康診断 | 常時使用する職員を雇い入れるとき | 医師による健康診断。受けてから3か月を経過しない健康診断の結果を出した人は、相当する項目を省ける | 労働安全衛生規則43条 |
| 就業規則 | 常時10人以上の労働者を使うようになったとき。労働基準監督署へ | 始業・終業の時刻、休日、賃金の決め方と支払の時期、退職(解雇の事由を含む)など | 労働基準法89条 |
| 時間外・休日労働の協定(36協定) | 法定の労働時間を超えて、または法定休日に働いてもらう前(人数に関係なく)。労働基準監督署へ | 労働者の過半数で組織する労働組合か、過半数を代表する者と書面で協定する | 労働基準法36条 |
表は横にスクロールできます
表は、条文と公的機関の案内の要旨です。保険の届出の期限は、下の「保険の届出」の小見出しから届出一覧の記事へ進めます。何が要るかは、雇う人数・雇用形態・診療内容で変わります。
研修期間の給与と求人の費用を「採用・研修・開業前の広報」に入れて、開業資金の総額を計算する
この記事で整理すること
- 求人の時期は、診療開始日から入職日・退職の手続き・選考・公開の順にさかのぼって決める
- 求人票と労働条件通知書は、業務と就業場所の「変更の範囲」まで同じ中身で書く。内定で契約が成立する場合は、通知書も内定の時点で渡す
- 資格の要る業務を先に分け、職種と人数を業務の一覧から出す
診療開始日から逆算する、採用の順番
採用は、届出や工事と同じ工程表に載せます。起点は、指定日(保険診療を始められる日)と診療開始日です。求人を出す時期に法令の決まりはありません。ただ、募集・契約・雇入れの場面ごとに、法令が時点を決めているものがあります。上の表にまとめました。
- 体制を決める職種・人数・勤務時間
- 求人の条件を書く業務と就業場所の変更の範囲まで
- 求人を出す求人票・求人広告・自院サイト
- 選考・内定免許証の原本を見る。通知書を渡す
- 退職の手続きを待つ勤め先の定めを本人に聞く
- 入職・研修健康診断、医療安全と感染対策の研修
- 診療開始指定日に合わせる
職種と人数:業務の一覧に、曜日と時間帯ごとの担当を書く
人数は、業務の一覧から出します。受付・会計・レセプト・予約・物品の発注といった資格の要らない医療事務、診療の補助、検査、器具の洗浄などを行に並べ、曜日と時間帯ごとに担当を書き込みます。休みや急な欠勤の日に誰が代わるかも、同じ表で見ます。
電話や窓口で症状を相談されたときは、受付で判断せず医師か看護職員に回す決まりにします。回す相手がいない時間帯に受付が何と伝えるかは、院長が文書で決めておきます。たとえば「急を要すると感じたら救急車を」「迷うときは地域の救急相談窓口へ」です。救急安心センター事業(#7119)を実施しているのは、総務省消防庁の案内では全国42地域です(2026年10月29日に確認)。地域によっては別の番号で、対象をおおむね15歳以上とし、15歳未満は子ども医療電話相談事業(#8000)へ案内している地域もあります。診療所のある地域の窓口と対象の年齢を調べて書いておきます。
病床のない診療所には、医療法上の看護職員の員数の定めはありません。医療法21条が員数を定めているのは、病院と療養病床を有する診療所です。看護職員を置かなくてよい、という意味ではありません。下の資格の要る業務を誰が担うかで、職種と人数が決まります。病床を置くなら、夜間の体制も別に考えます。決めた従業者の定員は、診療所開設届(医療法人などは開設許可の申請)の記載事項です(医療法施行規則1条の14第1項8号・4条)。施設基準の人員要件は、地方厚生局の案内を見ます。
資格の要る業務:診療の補助・検査・放射線・調剤を分ける
注射・点滴・採血などは、医師が自ら行うほか、医師の指示を受けて、診療の補助として看護師・准看護師が行います(保健師助産師看護師法5条・6条・31条・32条・37条)。准看護師は、医師・歯科医師または看護師の指示を受けて行います(同法6条)。保健師・助産師も行えます。医薬品の授与や診療機械の使用も、主治の医師の指示があるときに行います。臨時応急の手当などは例外です(同法37条)。臨床検査技師は、医師の指示のもとで生理学的検査を行えます。採血と検体採取は、医師の具体的な指示を受けて行います(臨床検査技師等に関する法律2条・20条の2)。
エックス線の撮影を含む放射線の照射は、医師・歯科医師・診療放射線技師に限られます(診療放射線技師法2条2項・24条)。院内で薬を渡すとき、薬剤師でない者が調剤できる例外は、患者が希望した場合などに医師本人が自分の処方箋で自ら調剤するときです(薬剤師法19条)。看護師や事務に薬をそろえてもらうなら、どこまで任せられるかを開業前に保健所に聞いておきます。
求人の条件:業務と就業場所は「変更の範囲」まで書く
募集のときに示す事項は、職業安定法施行規則4条の2第3項に並んでいます。業務の内容と就業場所(どちらも変更の範囲を含む)、契約期間、試用期間、有期契約の更新の基準、労働時間と休日、賃金の額、各保険の適用、医院の名称、受動喫煙を防ぐ措置です。試用期間の中と後で条件が違うなら、両方を示します(同条6項)。示した内容の記録は、募集が終わるまで保存します。その後に契約を結ぶなら、契約の日まで保存します(同条7項)。
「変更の範囲」は、将来の配置転換などで変わりうる就業場所・業務の範囲です(厚生労働省のリーフレット)。受付で採用する人に、物品の管理や器具の洗浄、検査室の準備・片付け(資格の要らない範囲)も頼む予定があるなら、最初から書いておきます。分院の予定があれば、就業場所も同じように書いておきます。
ハローワーク:開業前の申込みに要る書類を、管轄に聞く
ハローワークで募集するには、管轄のハローワークで事業所登録と求人申込みをします(求人者マイページでの仮登録か、窓口で)。求人は職種別・就業場所別・雇用形態別・フルタイムとパートタイム別に出し、フルタイムかパートタイムかは労働時間で分けます。有効期限は、原則として受理した月の翌々月末です。申込みの時期について、ハローワーク大阪東は、採用予定の1〜2か月くらい前が適当と案内しています。
求人は原則として雇用保険の適用事業所の単位で受け付けます。ただ、従業員がいない場合も、採用後すみやかに保険に加入することを前提に申し込めると、ハローワーク大阪東は案内しています。ハローワーク新宿は、雇用保険の事業所番号がない場合、事業所の存在が分かるもの(法人登記など)と事業の実態が分かるもの(賃貸借契約書など)を確認するとしています。個人で開業する場合は法人登記がないので、何を出せばよいかを管轄のハローワークに問い合わせます。
求人広告・医院のサイト・人材紹介:表示と手数料を見る
求人広告や医院のウェブサイトで募集するときも、労働条件を示します(職業安定法5条の3第1項)。うその表示や誤解を招く表示はできません。内容は正確で最新に保ちます(同法5条の4)。締め切った募集を載せたままにしないよう、掲載先と掲載日を一覧にします。開業支援をまとめた料金に求人広告が含まれない例は、開業コンサルの費用と契約の記事の比較表に挙げています。
人材紹介会社(有料職業紹介事業者)が受け取れる手数料は、2つに限られます。省令で決まった種類・額のものか、厚生労働大臣に届け出た手数料表によるものです(同法32条の3第1項)。届け出た手数料表の額に、法律の上限はありません。ただ、特定の人を不当に差別する手数料や、決め方が明確でなく著しく不当な手数料には、厚生労働大臣が変更を命じることができます(同条4項)。
紹介会社は、手数料と返戻金制度(早く辞めたときに手数料を返す仕組み)を求人者に示します(同法32条の13、同法施行規則24条の5)。紹介の実績も公表します。無期雇用で就職した人のうち、就職から6か月以内に解雇以外で辞めた人の数や、職種ごとの平均手数料率などです(同法32条の16第3項、同法施行規則24条の8)。紹介会社を比べるときは、この数字を見ます。
内定と入職日:契約が成立するなら、内定の時点で条件を示す
内定の通知で労働契約が成立したとされることがあります。厚生労働省は、その場合は内定を出すときに労働条件を示す必要があると案内しています。内定の時点で就業場所や業務を特定できなければ、見込まれる範囲をまとめて示すことができます。決まりしだい改めて示すことが望ましい、とされています。資格の要る職種は、免許証の原本を見て写しを保管します。求人と違う条件で契約するなら、契約の前に変える内容を示します(職業安定法5条の3第3項)。
契約が成立していれば、内定の取消しは解雇にあたります。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効です(労働契約法16条)。契約が成立していない内々定でも、取り消し方によっては損害賠償を求められることがあります(厚生労働省の案内)。工事や指定日が動いたときの扱いは、内定を出す前に労働局か社会保険労務士に相談しておきます。入職日は、本人に聞いた退職日に研修の日数を足し、診療開始日に間に合うかを見て決めます。
労働条件通知書:書面で渡す事項と、パート・有期で足す事項
労働条件のうち、契約期間、有期契約の更新の基準、就業場所と業務(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻や休日など、賃金(昇給を除く)、退職は、書面を渡して示します(労働基準法15条1項、同法施行規則5条)。本人が望めば、電子メールなどでもかまいません。示した条件が事実と違えば、職員はすぐに契約を解除できます(同法15条2項)。
- 契約期間
- 有期契約なら、更新の基準(更新上限の有無と内容)
- 就業場所と業務(変更の範囲を含む)
- 始業・終業の時刻、残業の有無、休憩、休日、休暇
- 賃金の決め方・計算と支払の方法、締切りと支払の時期
- 退職(解雇の事由を含む)
- パート・有期なら、昇給・退職手当・賞与の有無、待遇の説明を求めることができること、相談窓口(雇い入れたとき速やかに)
2024年4月からは、全ての労働契約を結ぶときと有期契約を更新するときに、就業場所と業務の変更の範囲を示します。有期契約では、更新上限(通算の期間か更新の回数)の有無と内容も示し、後から上限を設けたり短くしたりするときは、その理由を前もって説明します。無期転換を申し込めるようになる更新のときは、申し込めることと転換後の労働条件も示します。
パートや有期の職員を雇い入れたときは、速やかに、昇給・退職手当・賞与の有無、待遇について説明を求めることができること、相談窓口を、文書などで示します(パートタイム・有期雇用労働法6条1項、同法施行規則2条)。違反すると10万円以下の過料の対象です(同法31条)。
入職したら:雇入れ時の健康診断と、医療安全・感染対策の研修
常時使用する労働者を雇い入れるときは、医師による健康診断を行います(労働安全衛生規則43条)。3か月以内に受けた健康診断の結果を出した人は、相当する項目を省けます。パートが「常時使用する労働者」に入るかは、労働基準監督署に聞きます。管理区域に立ち入って放射線業務に常時従事する職員には、雇入れのときと6か月以内ごとに、別の健康診断が要ります(電離放射線障害防止規則56条)。
診療所の管理者は、医療安全の職員研修と院内感染対策の従業者研修を行い、医薬品安全管理責任者と医療機器安全管理責任者を置きます。医療安全と院内感染対策の指針も整えます。エックス線装置を備えるなら、診療用放射線の安全利用のための責任者を置き、放射線診療に従事する職員の研修も行います(医療法施行規則1条の11)。研修の日程を入職後の予定に入れ、責任者もこの時点で決めます。
ワクチンの記録:勤務の前に出してもらう(学会のガイドライン)
法令の健康診断とは別に、日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン」(第5版・2026年1月)があります。麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘については、事務職を含め、患者と接する可能性のある職員が対象です。勤務の前に、予防接種の記録などを勤め先へ出すことを原則としています。B型肝炎は、血液・体液に接する可能性のある職員が接種の対象です。ガイドラインは、患者の誘導や窓口業務に当たる事務職員も挙げています。
記録が1回だけの人や記録がない人は、少なくとも4週間以上あけて2回目(記録がない人は2回)を受け、その記録を勤務の前に出すことが原則です(かかったことがあって記録がない人は、抗体陽性の検査結果を出します)。入職日を決めるときは、この期間も見込みます。接種は、本人が医師と相談して受けます。麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘のワクチンは生ワクチンで、妊娠している人は受けられず、接種後2か月は妊娠を避けるとされています。接種できない職員には、勤務の体制で配慮するよう、ガイドラインは求めています。健康診断の結果や接種の記録は、保管する場所と見られる人を決めておきます。
保険の届出:労災保険・雇用保険・社会保険
雇えば、労災保険・雇用保険・社会保険の届出が続きます。届出名と期限は、開業の流れと届出一覧の記事の「職員を雇ったら」にまとめています。
雇用保険は、週の所定労働時間が20時間未満の人と、31日以上続けて雇われる見込みのない人を、原則として対象から外しています(雇用保険法6条)。2028年10月1日からは、この20時間が10時間に変わる予定です。健康保険と厚生年金保険は、医療法人なら人数に関係なく、個人の診療所なら常時5人以上で適用事業所になります(健康保険法3条3項、厚生年金保険法6条1項)。5人未満でも、従業員の2分の1以上の同意を得て認可を受ければ加入できます(健康保険法31条、厚生年金保険法6条3項・4項)。
就業規則は常時10人以上で、36協定は法定の労働時間を超えるなら人数に関係なく要る
就業規則:常時10人以上の労働者を使う使用者は、就業規則を作り、労働基準監督署に届け出ます(労働基準法89条)。開業時に10人未満でも増員の予定があるなら、労働条件通知書の項目を、就業規則に書く項目と同じ順にそろえておくと、後で移しやすくなります。
36協定:法定の労働時間を超えて、または法定休日に働いてもらうには、人数に関係なく、労働者の過半数で組織する労働組合(なければ過半数を代表する者)と書面で協定し、労働基準監督署に届け出ます(労働基準法36条)。時間外や休日の労働には、割増賃金も払います(同法37条)。
労働時間の特例:病者の治療などの保健衛生の事業で、常時10人未満の労働者を使う事業場は、1週間の法定労働時間の上限が44時間になります。1日の上限は8時間のままです(労働基準法施行規則25条の2第1項、同法別表第一13号)。これを超えて働いてもらうには、やはり36協定と割増賃金が要ります。36協定の書式と届け方は、労働基準監督署か社会保険労務士に聞きます。
開業後に負担が増えた業務の最多は採用:2009年の日本医師会調査から
日本医師会が2009年に、会員のうち診療所と病院の開設者に行ったアンケート(有効回答1,984。うち病院123)では、「開業してからのほうが負担になっている業務等」(管理面・複数回答)として、「スタッフの採用」が65.1%で最も多い回答でした。「機器等のメンテナンス」48.5%、「スタッフの教育・育成」48.3%、「スタッフの処遇・評価」46.8%が続きます。別の設問「勤務医時代のほうが負担だった業務等」では、「スタッフの採用」は2.7%でした。
2つの棒は別の設問(勤務医時代のほうが負担/開業してからのほうが負担)への回答です。病院の開設者123件と、開業から30年を超える開設者を含みます。
開業から30年を超える開設者も答えている古い調査で、いまの採用の難しさを示す数字ではありません。読み取れるのは、勤務医のころには負担としてほとんど挙がらなかった採用が、開業後は負担として最も多く挙がったということです。人件費を見直すときに合計額だけで人数を決めない考え方は、経営が厳しいときの見直しの記事で扱っています。
採用にかかるお金:開業前に出ていく分を資金計画に入れる
採用のお金は、求人を出す費用だけではありません。研修期間の給与は、診療収入が入る前に出ていきます。保険診療の入金は、診療した月の翌々月です。その間の家計の見通しは開業前後の生活費と借入返済の記事で扱っています。開業資金の表の作り方は開業費用の見積もり方の記事にまとめています。
計算例(架空)として、職員4人・月給22万円・診療開始の1か月前に入職とすると、研修期間の給与は88万円です。ご自身の条件での額は、開業資金シミュレーターの「採用・研修・開業前の広報」に入れて、開業資金の総額の中で見ます。
仕組みを説明するための架空の数字で、相場ではありません。社会保険料の事業主負担、通勤手当、求人の費用は入っていません。
| 費目 | いつ出ていくか | 金額を確かめる書類 | 見る点 |
|---|---|---|---|
| 求人広告・求人サイトへの掲載 | 掲載の申込み時など(契約による) | 媒体の見積書・申込書 | 掲載期間、延長や再掲載の料金 |
| 人材紹介の手数料 | 契約で決めた時点(入職時など) | 紹介会社の契約書、手数料表、返戻金制度の説明 | 計算の元になる額と率、早く辞めたときの返戻 |
| 研修期間の給与 | 入職日から診療開始日まで、毎月 | 労働条件通知書(賃金の額、締切りと支払の時期) | 診療収入の入金より先に出る |
| 社会保険料・労働保険料の事業主負担 | 加入してから(労働保険の概算保険料は、保険関係の成立から50日以内に申告・納付) | 年金事務所・労働局の案内 | 医療法人は人数に関係なく、個人の診療所は常時5人以上で健康保険・厚生年金保険の適用事業所 |
| 雇入れ時の健康診断 | 入職するとき | 実施する医療機関の料金、検査の外注費 | 3か月以内の健康診断の結果を出した人は、相当する項目を省ける |
表は横にスクロールできます
金額は媒体・契約・人数で変わるため、相場は載せていません。
よくある失敗:採用の手戻りが起きる場面
下の場面はどれも、工程表に採用の行がないときや、条件を書面にする前に話を進めたときに起きやすい手戻りです。採用を誰が担当し、条件を誰が最後に決めるかは、開業支援の役割分担の記事の役割表に「採用条件」の行として入れられます。居抜きや継承で前の診療所の職員を迎える場合は、居抜き物件の記事のとおり、職員との契約を設備とは別の話として整理します。
- 求人票と労働条件通知書で、勤務時間や給与が違う
- 変更の範囲を書かずに採用し、後から別の業務や場所を頼む
- 資格の要る業務を、資格のない職員の担当にしている
- 免許証の原本を見ないまま、資格の要る職種を採用している
- 内定を出したあと、開業の遅れを理由に入職日を一方的に延ばす
- 内定した人の退職日を聞かずに、入職日を決めている
- 研修期間の給与を、資金計画に入れていない
- 開業前の求人の申込みに要る書類を、管轄のハローワークに聞いていない
次にやること
まず、指定日と診療開始日を書いた工程表に、採用の行(体制・条件・求人・内定・入職・研修)を足します。次に、職種ごとの求人条件を変更の範囲まで1枚に書き、管轄のハローワークに開業前の申込みに要る書類を問い合わせます。労働条件通知書の書き方、内定の扱い、就業規則と36協定は、労働基準監督署か社会保険労務士に相談してください。
確認リスト
0 / 11 項目を確認済み
よくある質問
クリニック開業の求人は、いつから出せばいいですか?
法令で決まった時期はありません。起点は診療開始日です。そこから、研修の期間、内定した人が今の勤め先を辞めるまでの期間、選考の期間、求人の公開までの日数を、順にさかのぼります。申込みの時期について、ハローワーク大阪東は、採用予定の1〜2か月くらい前が適当と案内しています。
開業前で職員がいなくても、ハローワークに求人を出せますか?
申し込める場合があります。ハローワーク大阪東は、求人申込み時点で従業員がいない場合も、採用後すみやかに保険に加入することを前提に申し込めると案内しています。ハローワーク新宿は、雇用保険の事業所番号がない場合に確認する書類として、法人登記や賃貸借契約書などを挙げています。扱いは、管轄のハローワークに問い合わせてください。
クリニックの看護師は、何人必要ですか?
病床のない診療所に、医療法上の員数の定めはありません。医療法21条が員数を定めているのは、病院と療養病床を有する診療所です。人数は、注射・点滴・採血などの診療の補助を、看護師・准看護師などのうち誰が担うかと、診療時間から決めます。施設基準の人員要件は、地方厚生局の案内を見ます。
労働条件通知書は、メールで渡してもいいですか?
本人が希望すれば、ファクシミリや電子メールなどでもかまいません。電子メールなどは、本人が記録を出力して書面を作れるものに限ります(労働基準法施行規則5条)。
2024年4月から、採用で何が変わりましたか?
労働条件の明示事項が増えました。全ての労働契約を結ぶときと有期契約を更新するときに、就業場所と業務の変更の範囲を示します。有期契約では、更新上限の有無と内容も示します。求人を出すときの明示事項にも、業務と就業場所の変更の範囲、有期契約の更新の基準が入っています(職業安定法施行規則4条の2第3項)。
出典・確認日
- 日本医師会:開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査(2009年9月30日定例記者会見。7ページ「勤務医時代の負担・開業後の負担-管理面-」) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:労働基準法(15条:労働条件の明示、36条:時間外及び休日の労働、37条:割増賃金、89条:就業規則の作成及び届出、別表第一) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:労働基準法施行規則(5条:明示する労働条件と方法、25条の2:労働時間の特例) ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省:2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました(リーフレット) ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省:2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?(パンフレット。募集時等に明示すべき労働条件の追加を含む) ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署:採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件:内定や内々定を取り消す時、辞退された時の留意点(Q&A) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:労働契約法(16条:解雇) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:職業安定法(5条の3:労働条件等の明示、5条の4:求人等に関する情報の的確な表示、32条の3:手数料、32条の13:取扱職種の範囲等の明示等、32条の16:事業報告等) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:職業安定法施行規則(4条の2:法5条の3に関する事項、24条の5:法32条の13に関する事項、24条の8:法32条の16に関する事項) ↗確認日:2026-10-29
- ハローワークインターネットサービス:求人申込み手続きの流れ(求人の有効期限を含む) ↗確認日:2026-10-29
- ハローワークインターネットサービス:初めてご利用になる求人者の方へ(求人申込みの基本) ↗確認日:2026-10-29
- 大阪労働局 ハローワーク大阪東:求人申込みに関するQ&A(Q1:申込みの時期、Q4:従業員がいない場合) ↗確認日:2026-10-29
- 東京労働局 ハローワーク新宿:一般求人の申込み(事業所登録で確認する書類) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:民法(627条:期間の定めのない雇用の解約の申入れ) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:保健師助産師看護師法(5条・6条:定義、31条・32条:業務の制限、37条:医師の指示がなければしてはならない行為〈臨時応急の手当などを除く〉) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:臨床検査技師等に関する法律(2条:定義、20条の2:保健師助産師看護師法との関係) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:診療放射線技師法(2条2項:定義、24条:禁止行為) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:薬剤師法(19条:調剤) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:医療法(21条:病院・療養病床を有する診療所の人員及び施設) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:医療法施行規則(1条の11:安全管理のための体制〈第2項3号の2:診療用放射線〉、1条の14:開設許可の申請事項、4条:診療所開設の届出事項) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(6条:労働条件に関する文書の交付等、31条:過料) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(2条:法6条1項の明示事項) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:労働安全衛生規則(43条:雇入時の健康診断) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:電離放射線障害防止規則(56条:健康診断) ↗確認日:2026-10-29
- 日本環境感染学会:医療関係者のためのワクチンガイドライン 第5版(2026年1月) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:雇用保険法(6条:適用除外) ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省:令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:健康保険法(3条3項:適用事業所、31条:任意適用) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:厚生年金保険法(6条:適用事業所) ↗確認日:2026-10-29
- e-Gov法令検索:労働保険の保険料の徴収等に関する法律(15条:概算保険料) ↗確認日:2026-10-29
- 総務省消防庁:救急安心センター事業(♯7119)ってナニ? ↗確認日:2026-10-29
- 厚生労働省:子ども医療電話相談事業(♯8000)について(実施状況) ↗確認日:2026-10-29
制度の対象・期限・地域ごとの扱いは、必ず最新の公式案内でご確認ください。本文は一般的な情報と、資料を整理する手順です。個別の法律や税金の判断はしていません。
知りたいことは、分かりましたか?
足りなかったことを、1つお選びください。
回答は、記事を見直すときの参考にします。お名前やメールアドレスは受け取りません。